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ミケランジェロ と「ダビデ」

イタリアの巨匠ミケランジェロはみなさんよくご存じだと思います。
そのミケランジェロの代表作に「ダヴィデ」がありますが、その「ダヴィデ」についての逸話が、ロマン・ロランの名作
「ミケランジェロの生涯」(ロマン・ロラン著 高田博厚訳 岩波文庫)に書かれています。
 
    
       ダヴィデ
       「wikipedia」ミケランジェロより。
        

『伝えによると、市政長官のピエロ・ソディリーニがミケランジェロにこの制作を注文したのだが、ある日像を見に来て、見識を示すべく批評をやって、鼻が大きすぎると難じた。
そこでミケランジェロは足場へ上り、鑿と大理石の粉をすこし手に持って、鑿を軽く動かしながら、粉末をすこしずつ落とした。だが鼻には触れず元のままだる。
「これでいかがです?」
「や、すっかりよくなった。これで生き生きとしてきた」とソデリーには言った。
--- そこでミケランジェロは下りてきてこっそり笑った。 ---』
 
また、次のようにも書かれています。
『美術家委員会が「ダヴィデ」の置き場所につて評議した。ミケランジェロの要請に従って、市政庁の前に建立することに決定し、・・・・ 中略 ・・・・ 指定の位置にに着いた。夜はまた象の周囲を警備しつづけた。万全の注意が払われたにもかかわらず、ある夜投石で傷つけられた。
これが、時にはわが国民衆の手本とされいたフィレンツェの市民だったのである。』
 
 
前者は、システィーナ礼拝堂の壁画を描いたとき、絵にけちを付けた司祭を、いかに知ったかぶりをした無知さを馬鹿にし、最後の審判の絵で地獄に落ちた者の顔を司祭の顔を描いた、自由人で反骨心があるミケランジェロをよく物語っているように思います。

そして、後者は「ダヴィデ」の美しい純潔な裸体に対して、当時もっとも、文化的に進んだ礼節を持っている市民と言われた、自由都市国家フィレンツェの市民の恥じらいの心を精神的に呼び起こし傷つけてしまったのでしょう。今まで多くの彫刻などは、貴族の私的庭園や邸宅やもっとひどいのになると陽のささぬ私蔵いな死蔵の庫に置かれていましたが、ミケランジェロは市政庁の玄関の前に置くよう希望し、市民の目前にさらしたのです。
しかし、それはあまりにも美しい「ダヴィデ」の裸像に嫉妬してしまったのはなぜでしょうか。

それは、レオナルド・ダ・ビンチなどが加わって討議している美術家委員会が、ミケランジェロがはじめから希望している市政庁前に置くことに反対して、ロッジア・ディ・ランディの屋根の下に置く提案に賛成したのも、「ダヴィデ」の裸像の自由都市としての気概を恐れ、芸術性を優先しようとしたことからもそれが伺えるのではないでしょうか。しかし、最後には制作者のミケランジェロの意図が優先され、市政庁を守る「ダヴィデ」として置かれたのです。

また、この「ダヴィデ」を通して、ミケランジェロはフィレンツェ生まれでフィレンツェの自由都市としての独立性を「ダヴィデ」の芸術性で顕したかったのでしょうか、それに対してレオナルド・ダ・ダビンチは、生まれ故郷のフィレンツェを捨てて芸術制作を追求した二人の温度差を感じます。
そのことに対して、羽仁五郎は「ミケランジェロ」岩波新書の中で次のように書いています。
「すなわち、フィレンツェ自由都市共和制の若き"ダヴィデ"は装備によらず裸身にしてただ市民民衆の自由独立の精神によって、あのピエロ・デ・メディチの独裁主義の陰謀とチェザレ・ボルジアの武力とそれらの背後の法王アレッサンドロ六世どの三頭のゴリアをしりぞけたのである。」

そもそもダヴィデは、旧約聖書サムエル記上に出てくるイスラエルの王子であり、イスラエルを滅ぼそうとした宿敵ペリシテの巨人のゴリアテを倒した英雄ですが、「ダヴィデ」の裸像に、フィレンツェの置かれた現状を表したことに市民は嫉妬したのでしょう。


旧約聖書 サムエル記 上 については、続きに書きたいと思います。
サムエル記上 第17章に概ね次のように書かれています。

ペリシテ軍はエペス・ダミムに陣取った。サウルとイスラエルはエラの谷に陣取り戦列をしいた。
ペリシテ軍の中のゴリアテは、身の丈六キュビト半。頭に青銅の兜かぶり、身には青銅で重さ五千シケルの鱗状鎧を着て、足には青銅のすね当を着け、肩には青銅の投げ槍を背負っていた。手に持っている槍の柄は、機の巻棒のようであり、槍の穂の鉄は六百シケルであった。彼の前には、盾を執る者が進んだ。
ゴリアテはイスラエルの戦列に向かって叫んだ、「わたしは、きょうイスラエルの戦列にいどむ。ひとりを出して、わたしと戦わせよ」。
ペリシテ軍は四十日の間、イスラエルの前に立ちはだかった。

さて、エッサイの人の子ダビデはユダのベツレヘムにいて、父の羊を飼っていた。エッサイはその子ダビデに言った、「兄たちのため、このいり麦一エパと、この十個のパンをとって、急いで陣営にいる兄の所へ持っていきなさい。」

ダビデは食料品を携えて。兄たちのいる陣営に着いた時、軍勢は戦線に出ようとしていた。ダビデは荷物をおろして、戦列の方へ走って、兄たちの所へ行き、彼らの安否を尋ねた。
そのとき、ゴリアテが、前と同じ言葉を言ったので、ダビデはそれを聞き、ダビデはかたわらに立っている人々に言った、「このペリシテびとを殺し、イスラエルの恥をすすぐ人には、どうされるのですか。この割礼なきペリシテびとは何者なので、生ける神の軍をいどむのか」。
ダビデは、鎧をきて、剣を帯びて行こうとしたが、慣れていなかったのでできなかった。
ダビデはそれらを脱ぎすて、手に杖をとり、谷間からなめらかな石五個を選びとって自分の持っている羊飼の袋に入れ、手に石投げを執って、ゴリアテに近づいた。
ゴリアテはダビデを見、これを侮った。まだ若くて血色がよく、姿が美しかったからである。
ゴリアテはダビデに言った、「つえを持って、向かってくるが、わたしは犬なのか。さあ、向かってこい。おまえの肉を、空の鳥、野の獣のえじきにしてくれよう」。
ダビデはゴリアテに言った、「おまえは剣と、槍と、投げ槍りを持って、わたしに向かってくるが、わたしは万軍の主の名、すなわち、おまえがいどんだ、イスラエルの軍の神の名によって、おまえに立ち向かう。きょう、主は、おまえをわたしの手にわたされるであろう。わたしは、おまえを撃って、首をはね、ペリシテ軍勢の屍を、きょう、空の鳥、地の野獣の餌食にし、イスラエルに、神がおられることを全地に知らせよう。」
ダビデは手を袋に入れて、その中から一つの石を取り、石投げで投げて、ゴリアテの額を撃った。石はその額に突き入り、ゴリアテはうつむきに地に倒れた。こうしてダビデは石投げと石をもってゴリアテに勝ち、ゴリアテを撃って、これを殺した。ダビデの手に剣がなかったので、ダビデは走りよってゴリアテの上に乗り、その剣を取って、鞘から抜きその首をはねた。ペリシテの人々は、その勇士が死んだのを見て逃げた。
ダビデは、ゴリアテの首を取ってエルサレムへ持って行ったが、その武器は自分の天幕に置いた。

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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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  • 東京五輪の延期は
    アジシオ次郎 (03/25)
     おはようございます。

     東京オリンピック・パラリンピックは1年延期となったわけだが、新型コロナウイルスという道の猛威には勝てなかったというか、この状況で予定通
  • 「無意味だ」ヤジについて思う
    竹林泉水 (02/20)
    「桜を見る会」などを棚上げすれば、モリカケのようにうやむやにされ、日本の行政がますますゆがめれれていく。
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  • 「無意味だ」ヤジについて思う
    幽村芳春 (02/19)
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  • 昨日の続きである、「カラクテール」から
    竹林泉水 (02/07)
    コメントありがとうございます。
    五観の偈をとなえて食事をなさっておられるのですか。 頭がさがります。

    企業活動や時の政権も、この「五観の偈」を、政治や商売に置き
  • 昨日の続きである、「カラクテール」から
    幽村芳春 (02/03)
    私も必ず「五観の偈」を唱えてから食事をいただいています。実際に唱えると五観の偈の意味がよくわかります。
  • 津久井やまゆり園の裁判
    竹林泉水 (01/15)
    こちらこそ 今年もよろしくお願いします。

    やまゆり園の裁判で、被告が突然暴れ出したとニュースされたとき、詳しいことが報道されなかったので、よく分からなかったです
  • 地球温暖化の問題点
    竹林泉水 (01/15)
    年始葬送のコメントありがとうございます。
    今年もお互いに良い年でありますようねがっています。

    ハイ 温暖化問題の解決の一番は、私は人間活動に足るを知ることだと考
  • 津久井やまゆり園の裁判
    アジシオ次郎 (01/13)
     遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

     さてやまゆり園無差別殺傷事件の被告に対する初公判は、開廷して被告が謝罪したと思いきや突然口に手を突っ込むとい
  • 地球温暖化の問題点
    荒野鷹虎 (01/10)
    温暖化問題は難解ですねー。
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    水力や風力発電はいかがなものでしょうかね。
    恐ろしいことが現実化されてい
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