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一粒の筋子と食べ物

最近はどうも、食べ物を粗末にしてしまっているように感じます。
私の小さいころは、「一粒の米も流さず一粒の砂も見逃さずという言葉があり」また、「ご飯を一粒でも粗末に残すと、目がつぶれる」と教えられました。そして、食べ物は特に大切にしていました。飽食の時代と言われて久しい現代ですが、どうもそのような意識が薄れてしまったことは残念に思います。テレビで食を扱った番組で、食べ物を粗末に扱ったり、笑いを取る番組があるのを残念に思います。


アイヌの昔話に次のような話があると、「アイヌの昔話 萱野 茂 平凡社ライブラリー」に書かれていました。
上のようなことを日ごろ、思っていたのでこの話に興味を持ったので、かいつまんであらすじを紹介してみます。

「一粒のサッチポロ」
石狩川の中程に親子三人で暮らす娘がいた。父は年を取って山に狩りにも川に鮭を捕りにもいけずいました。娘が春は山菜を採り、冬にはそれを保存していた物を食べていました。
夏はウバ百合の根を堀り、水でさらして澱粉を取って食べ。残り粕は青草で包み発酵させ冬に食べていました。母親があるとき「おまえのいいなずけが川の上流にいるから逢いにいけと」と言いました。
家の一切のことをしていた娘は、会いにいく気がなかったですが、度々母親が言い、旅支度をして背中にくくりつけ「父さんも永くはない、死ぬまでに男の猟った肉をたべさせたい」と言って押し出しました。
川の上流を目指して夕暮れになったころ、石の原っぱにでると、一人の女が座っていました。見ると自分と同じ歳ごろです。顎は長く口は耳まで裂け、目がつり上がた女でした。
娘が近づくと、女は「お姉さま、貴方がくると聞いて、迎えにきました」。そしてにこにこしながら「お姉さまシラミを捕って上げましょう」と言い。髪の毛をなでてくれました。そると娘は眠くなって眠ってしまいました。
目を覚ますと、あの女が娘の着物を着て、先の方を歩いていました。娘は女のボロを着て追いかけました。
そうすると、女は悪口をつき石を投げてきました。女の後ろ姿をみると娘そっくりでした。
女がしばらく歩いていくと、一軒の干し肉が軒先に干してある裕福そうな家につきました。女はその家に入ったので、娘も入っていきました。
家の中の老人は女には丁寧に礼拝しましたが、娘には見向きもしませんでした。
女は娘に向かって、「どこから来たか知らないが、いいなずけに会いに来た私の邪魔をするなと」怒鳴りました。
そこに、二人の若者が鹿の肉を背負って帰ってきました。老人は若者に客人が来ていることを告げると、若者二人は丁寧に二人に礼拝しました。特に娘には丁寧でした。
娘のいいなずけらしい弟の方は、二人を見比べいぶかしげな顔をしてました。
すると、弟の若者が美しい椀を二人に差しだし、それにサッチボロ(干した筋子)をお入れ。「どうぞ食べてください」と言いました。
娘は子どものころ父親から言われていたとおり、一粒づつ口に入れゆっくりと噛んでたべました。
女の方は手で一掴みにして、ほおばて食べました。女は目を白黒させながら、噛もうとするが、筋子は歯に粘りつき呑み込むこともでず悶えてていました。するとだんだん女の顔が変わり、そのうち尻から狐の尻尾が見えました。
若者二人が尻尾を見つけてると、燃えさかった薪と火箸を手に持って、女に殴りかかりました。
すると女は「わたしはいいなずけなのにどうしてだ。あの女が化け物だ」とわめきました。
「なにを言う化け物狐 正体を現せ」と若者二人が殴りかかり。老人も「昼の日なか、火の神様の前で、人や神を欺くことができるか」と火箸で殴りかかりました。女は「火の神の前で」と言われ正体を現し狐の姿になりました。
その狐のすがたは、痩せこけ病気にかかった姿でした。人の姿をしているときは動きが鈍かったが、本性を現すとすばしこかったですが、ようよう取り囲んで叩きのめして殺していまいました。そして老人は、狐の死体をゴミ捨て場に捨てました。

その夜 娘の夢の中にあの女がでてき「本当にわるかった、わたしはお嫁になりたく、お前に化けたがこのありさまだ。実は私はあの石原を守るため、天国から使わされた女神です。このままゴミといっしょに私を捨てることは、お前たちのためにならない、粗末なイナウと僅かな酒を供えて、神の国に送ってほしい。そうしてくれると、お前たちが一生のあいだ幸せに暮らせるよう守ってあげよう」といいました。
老人も若者も同じ夢をみたらしく、次の朝、「神は神同士で結婚して神だ、今後あのようなことのないように」と悪口をいいなが、少しの酒と、粗末なイナウで狐を神の国へ送り返した。
その夜、狐の女神が枕元にたち「私は、神々に許され、地位が低いが神の仲間入りができました。お礼に、一生お守りします」と言いました。

そして娘と若い男は、たくさんの干し肉と干し魚を持って娘の家に帰りました。
父母は喜び父は肉を食べることができました。そして子どももたくさん生まれ、なに不自由なく暮らすことができました。

「だからいまいるアイヌよ、干した筋子を食べるときは、一粒々々食べなさい、そして相手が化け物か判らないときは、サッチポロを食べさしてみると、その食べ方で判るのだ」とひとりのおばあさんがいいました。


食べ物を扱ったテレビ番組が多いが、その中で出演者が食べる番組があります。
美味しさを伝えたいのでしょうが、ガツガツと大食らいしたり、食べた後も食材を粗末に扱ったりするような番組があります。
それを見ているとなんだか、この話の狐のように思えるところがあります。
この娘の父親の教えのように、食べ物を大切に一口一口味わって、その食材の神に感謝して食べないと行けないです。昔はアイヌに限らずみなそのような気持ちを持っていたのですが、そのような番組を見て笑う今の現代人は、なんだかその心がどこかに行ってしまっているようです。
この話をしっかりと噛みしめたいと思います。
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食べ物とTV

そうですね、だんだん食べ物を扱った番組、二つに分かれてきたように感じます。
食文化を伝えるものと、 食べ物で笑いをとるもの、

いずれ、片方が淘汰されると思いますし、そう願ています。

Re: 食べ物とTV

このキツネは干し筋子を食べたことがなかったのでしょう。私も小さい頃何度か、父の酒の肴を何度か食べたでけです。
そのころの記憶は曖昧になってしまいましが、確かにネバッコかったように思えます。

テレビの番組でも珍味のものや悪食のものでも、茶化して番組が作られるのはいかがかと思います。
例えば、昆虫を食べるのは世界で見てもそう珍しくないようで、重要なタンパク源として食べられているようです。
日本でも、ミツバチの幼虫やイナゴを食べる文化があります。

食べ物を茶化し笑いを呼ぶ番組をつくるのは、その地域の文化に対してしつれなことと思います。
そして、それを作る側の文化程度が笑われそうです。
■竹林乃方丈庵の主から■

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