盗人に取り残されし秋の月
今日は旧暦で八月十五日で、中秋の名月です。
今日は台風が近づいているので、十五夜の月がみれそうにありません。
「盗人に取り残されし秋の月」
良寛
なにも無い良寛さんの、五合庵に盗人が入り、わずかな物まで持ち去って言った。庵の中は空っぽでなにもない、ただあるのは月の明かりが、綺麗に輝いて部屋を射しているだけだ。
この句には幾つかの話があります。
一つは、
人里離れた村の端の山にある、良寛の何もない庵に盗人が入った。持ってゆく物などは何もないのに、途方に暮れた盗人に心を痛めた良寛は、自分の着ている着物をさしだした。盗人はそれを持って立ち去ったが、良寛が目にしたのは明るい月の光が窓から射しこんでいる満月だった。
また、一つは、
良寛が住んでいる庵に泥棒が入った。泥棒は庵の中を見渡したものの、盗むものが何もない。ちょうど泥棒が入ったのに気がつき寝返りを打つと。泥棒は良寛の煎餅布団を盗んで去った。窓を見ると満月が輝いていた。
この句は良寛が約20年間住んで、修行と芸術にいそしんだとされる「五合庵」で読んだものといわれています。
『堂宇間数 間口弐間 奥行九尺』ということですから、2間×9尺ですから、六畳ぐらいでしょう。
詫び住まいといえば、鴨野長明の方丈庵があり、こちらは、一丈四方ですから四畳半ほどの大きさでしょう。
小さな庵に質素に住まいする良寛さんは、不思議なお坊さんです、沢山のお坊さんがいる中で、さんづけされるのは良寛さんと一休さんぐらいではないでしょうか。「五合庵」は真言宗の国上寺の住職の万元和尚の隠居用として建てられたもので、建てられてから百年以上たって空き家となっていたので、良寛さんは住むことができたのです。しかし曹洞宗のお坊さんである良寛さんが借りれるのも、良寛さんの人柄と時代なのでしょう。国上寺の住職が隠居して「五合庵」に住むので、良寛さんは「五合庵」を出て各地を転々と宿を借りるお坊さんとして、托鉢をしながらの生活をしていた不思議な方です。
それはさておき今日は、団子を月に見立てて月を愛で食べましょう。
中国やベトナムでは月餅を食べるそうです。農耕民族は、秋は収穫をもたらしてくれた神様に感謝し、収穫の喜びを込め美しい満月を拝むのでしょう。秋は空気が乾燥してきて澄み、月が大変美しく見えます。みんなで秋の夜長を楽しみ、今までの農耕の労を互いに労ったのでしょう。
月の句を
菜の花や月は東に日は西に
月天心貧しき町を通りけり
蕪村
名月や畳の上に松の影
其角
もう一つ月にまつわる言葉を、
紀貫之の《土佐日記》に次のようにあります。
「唐とこの国とは、言異なるものなれど、月の影は同じことなるべければ、人の心も同じことにやあらむ。」
今日は台風が近づいているので、十五夜の月がみれそうにありません。
「盗人に取り残されし秋の月」
良寛
なにも無い良寛さんの、五合庵に盗人が入り、わずかな物まで持ち去って言った。庵の中は空っぽでなにもない、ただあるのは月の明かりが、綺麗に輝いて部屋を射しているだけだ。
この句には幾つかの話があります。
一つは、
人里離れた村の端の山にある、良寛の何もない庵に盗人が入った。持ってゆく物などは何もないのに、途方に暮れた盗人に心を痛めた良寛は、自分の着ている着物をさしだした。盗人はそれを持って立ち去ったが、良寛が目にしたのは明るい月の光が窓から射しこんでいる満月だった。
また、一つは、
良寛が住んでいる庵に泥棒が入った。泥棒は庵の中を見渡したものの、盗むものが何もない。ちょうど泥棒が入ったのに気がつき寝返りを打つと。泥棒は良寛の煎餅布団を盗んで去った。窓を見ると満月が輝いていた。
この句は良寛が約20年間住んで、修行と芸術にいそしんだとされる「五合庵」で読んだものといわれています。
『堂宇間数 間口弐間 奥行九尺』ということですから、2間×9尺ですから、六畳ぐらいでしょう。
詫び住まいといえば、鴨野長明の方丈庵があり、こちらは、一丈四方ですから四畳半ほどの大きさでしょう。
小さな庵に質素に住まいする良寛さんは、不思議なお坊さんです、沢山のお坊さんがいる中で、さんづけされるのは良寛さんと一休さんぐらいではないでしょうか。「五合庵」は真言宗の国上寺の住職の万元和尚の隠居用として建てられたもので、建てられてから百年以上たって空き家となっていたので、良寛さんは住むことができたのです。しかし曹洞宗のお坊さんである良寛さんが借りれるのも、良寛さんの人柄と時代なのでしょう。国上寺の住職が隠居して「五合庵」に住むので、良寛さんは「五合庵」を出て各地を転々と宿を借りるお坊さんとして、托鉢をしながらの生活をしていた不思議な方です。
それはさておき今日は、団子を月に見立てて月を愛で食べましょう。
中国やベトナムでは月餅を食べるそうです。農耕民族は、秋は収穫をもたらしてくれた神様に感謝し、収穫の喜びを込め美しい満月を拝むのでしょう。秋は空気が乾燥してきて澄み、月が大変美しく見えます。みんなで秋の夜長を楽しみ、今までの農耕の労を互いに労ったのでしょう。
月の句を
菜の花や月は東に日は西に
月天心貧しき町を通りけり
蕪村
名月や畳の上に松の影
其角
もう一つ月にまつわる言葉を、
紀貫之の《土佐日記》に次のようにあります。
「唐とこの国とは、言異なるものなれど、月の影は同じことなるべければ、人の心も同じことにやあらむ。」
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