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民主主義の危機とは

PHP親書に、マルクス・ガブリエルが日本の読者に向けて、ドイツのボン大学でインタビューされ、大野和基が翻訳した「世界史の針が巻き戻るとき」と言う本がある。
ガブリエルは、「新しい実存論」を示し、世界の見直しの必要性を唱え注目を集めている、若き知の巨人の一人です。

この本の書いているいろいなことに興味を引かれ、考えさせれることが書いてある。その中で、第Ⅳ章 民主主義の危機 の冒頭で次のように述べている。
民主主義について端的に的を得て的確に指摘している。少し長くなるが紹介してみる。
「民主主義における最大の危機とは何かと言えば、民主主義に対する人々の理解が間違っていることです。現在、人々は「民主主義は、自分が信じているものを何でも自由にいえる権利で成り立っている」と思っています。民主主義を、特定の表現の自由と混同しています。しかし、どんなバカげたことでも好きに表現できることと民主主義を同一視してはなりません」。
ここでは、特に表現の自由を例にだしているが、なんでも自由に無責任に言いたいことを言って、他者と争っていくのがよいのではないとのべている。

ここで考えてみると、個と個の衝突について、憲法の改憲論者にはよく、現行憲法は権利ばかり書いて義務は書かれていないと主張するが、「日本国憲法」の第三章[国民の権利及び義務]をよく読めばそうでないことはわかる。

日本国憲法には次のように書かれている。
〔基本的人権〕
第11条国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第12条この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第13条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔思想及び良心の自由〕
第19条思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
〔信教の自由〕
第20条信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 2、3項、略
〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕
第21条集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕
第22条何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
〔学問の自由〕
第23条学問の自由は、これを保障する。

このように書かれているが、民主主義にとって一番大切なことは何かが、端的に書かれていると思う。
この、それぞれの箇所に書かれている、「公共の福祉のため」や、「公共の福祉に反しない限り」と書かれている。また、12条では、「自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と書かれている。
ここでの「公共の福祉」と「不断の努力」とは何かだが、
「公共の福祉」とは、個人の人権と人権の衝突がおき、自分ばかりの権利を主張してはならない、常に他者の人権をお互いに尊重し寛容でなくてはならないということです。
「不断の努力」とは、一つは、おのおのの国民市民の意識が、基本的人権への意識が疎かになると、個人からまた統治者や権力から、脅かされるので常にそならないように権力への監視を怠ってはならない。一つは、国民市民自体が公共の福祉に反することが無いように常にその意識を怠ってはならないということだ。
表現の自由などの条文に書かれた文言を曲解してはならないもので、公共の福祉のために使い、公共の福祉に反しない限り認められとしていることを忘れてはならない。

自民党の改憲論者が、現行の「日本国憲法」が個人主義を広め、身勝手な人間を多くしたと主張しているが、現行の憲法は決して身勝手な個人主義・利己主義を是としていない。また、国民・人としての、市民としての義務もすべきことは書かれている。それぞれを、自分の都合のよいように解釈してはならないです。
*(自民党は2005年に、憲法改正案を発表し、2012年にも改正案を発表している。その二つを読み比べると、05の改憲案の取りまとめの責任者を勤めた舛添要一は、12年の改憲案を、右か左かというイデオロギーの問題以前に、憲法というものにちて基本的なことを理解していない人々が書いたとしか思えなかった、と述べている。別の機会に現行憲法と自民党の05年案と12年案について考えてみたい。)

ガブリエルは、ドイツの大学システムを例に、個人が身勝手なことをしても、システムが機能していたら、学部長が仲裁して個人の身が手な言い分は通らない、もし身勝手な言い分が通るなら、それは、学部長がうまくとりまとめできなかったとしていき見られると述べている。
学部長がうまくとりまとめができなかったのには大きくわけて二つある。その一つは、学部長にとりまとめの能力に欠けていた。もう一つは、学部長がうまくとりまとめをしなかった。つまり一方の方に有利なとりまとめをした。これでは、うまく民主主義が機能できなくなる。

そしてガブリエルは、民主主義の制度は何かを定義してる。「民主的な制度の機能は、意見の相違に直面したときも暴力沙汰が起きる確率を減らすことです。二人の当事者が異なる意見を持っているとき、民主的機関の機能は、双方の利益のあいだの妥協点を見つけだすことです。・・・中略・・・ 民主的な判事は真実を探すだけではなく ーもちろん真実は十分重要ですがー 双方の利益を考慮に入れます。そうやって民主主義が機能するのです」。
つまり、一朝一夕に自分の敵を潰すことはできないようになっているのが、民主主義の制度で、民主主義は各々にプロセスがあり、非常に複雑で緩慢に物事が進むことを認めそれを護らなければならないのでしょう。
ガブリエルは、最近の民主主義国の市民はそのことを、よく理解していない人が増えてきていると警鐘している。とし**アメリカ憲法修正第1条を曲解していると指摘している。
最近のフェースブックなどは、表現の自由を曲解しているとしガブリエルは次のように述べている。
「我々は民主主義の本質とその価値を理解しなければなりません。緩慢な官僚的なプロセスが善であることを理解しなければなりません」。と。

**アメリカ合衆国憲法 修正第一条には次のように書かれている。
1791年に修正第1から10条
第1条
連邦議会は法律により、国教の樹立を規定し、もしくは信教上の自由な行為を禁止することはできない。また、言論および出版の自由を制限し、或いは人民の平穏に集会をし、また苦痛事の救済に関し政府に対して誓願する権利を侵すことはできない。(岩波文庫 世界憲法集 昭和35年1月25日発行 昭和48年7月10日 第16刷)
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  • 100年前の教訓
    竹林泉水 (05/09)
    コメントありがとうございます
  • 100年前の教訓
    レインボー (05/09)
    初めてコメントします。

    100年前のスペイン風邪が流行ですが、与謝野晶子の指摘、感心しました。
    ご指摘のとおり、100年前と同じことが繰り返されているとは、驚きました
  • 東京五輪の延期は
    竹林泉水 (03/27)
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  • 昨日の続きである、「カラクテール」から
    竹林泉水 (02/07)
    コメントありがとうございます。
    五観の偈をとなえて食事をなさっておられるのですか。 頭がさがります。

    企業活動や時の政権も、この「五観の偈」を、政治や商売に置き
  • 昨日の続きである、「カラクテール」から
    幽村芳春 (02/03)
    私も必ず「五観の偈」を唱えてから食事をいただいています。実際に唱えると五観の偈の意味がよくわかります。
  • 津久井やまゆり園の裁判
    竹林泉水 (01/15)
    こちらこそ 今年もよろしくお願いします。

    やまゆり園の裁判で、被告が突然暴れ出したとニュースされたとき、詳しいことが報道されなかったので、よく分からなかったです
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