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民主主義 文部省 目ざめた有権者 1

1948年に文部省が作った教科書「民主主義」を、読んでこのブログで紹介している、しかし、順番は飛び飛びでまちまちです。
今までは、民主主義とは何か、またその大切さを読んできた。

今回は、日本の民主主義は間接民主主義である。その代表者を選ぶにおいて大切なことは何かを考えてみたい。いま、若者の選挙離れが問題になっている。しかし来年は、参議院の国政選挙がおこなわれ、その選挙は今まで選挙権がなかったが高校生が、法律の改正により18歳に引き下げられた。ぜひとも今から65年以上前に書かれた文であるが、ここに書かれている内容はその新鮮さを保ち続けているといえる。多くの中高生に民主主義とはなにか、選挙とは何かを考える機会になればと思う。

民主主義 文部省編纂
第六章 目ざめた有権者

民主主義と世論

民主主義は、単なる政治の形をさすものでもなければ、古い政治組織を進歩したしくみに改めることたけを意味するものでもない。それは、もっともっと大きな事柄を意味している。真の民主主義とは、われわれが日常生活を送るその方法なのである。世の中には、人間の個人としての力ではどうすることもできないいろくな事柄かある。そのように、個人個人の努力では到底実現できない仕事を、国民のお互の協力によって達成しうる方法が、民主主義であり、民主政治なのである。
民主国家では、すべての政治の源は国民の意志にある。言い換えれば、主権は国民に存する。しかし、国民がみんなで朝から晩まで政治のこどを考えているわけには行かないから、白分たちに代わって政治を行ってくれる代表者を選ぶことになっている。これは、前に述べた通りである。そこで選挙民は、村長・市長・知事・市会議員・国会議員などのような代表者を、自分たちの中から選び出すことになる。これらの代表者が、国民の支持と協力とを基礎として、国民の個個別々の力では実行しえないようなたいせつな事業、たとえば、学校を作ったり、道路を開いたり、水利を図ったり、疫病や火災や犯罪を防止したりするような仕事を行うのである。だから、国民の代表者は、国民の大多数が何を求めているか、国民にとって何か一番たいせつであるかをつかむことに、絶えず努力して行かなければならない。
ところで、国民の数は非常に多い。だから、国民のひとりひとりが何を考え、何を望んでいるかを、いちく聞いて歩くわけには行かない。といって、国民の代表者が一部の人々の意見だけを聞いて、それで政治のやり方を決めるというのは、きわめて危険である。そこで、国民は、広く一般に知れわたるようなしかたで、その希望や意見を言い表わそうと努める。政治を行う代表者たちは、そういうふうにして表明された国民の気持を公平に判断し、できるたけ国民の意志にかなうように、実際の政策を決めて行かねばならない。このように、世の中の注目をひいている問題について、たとえば新聞やラジオへの投書とか、雑誌や書物への寄稿とか、国民大会その他の会議での発言とかいう方法によって、一般的なしかたで表明された国民の声を、世論という。

 今日の社会には世論を伝える道筋がいろいろと発達している。自分で新聞や雑誌に書いたり、講演をしたり、ラジオの街頭録音に出かけて行って意見を述べたりしないでも、ある問題について論じている雑誌がどのくらい売れたか、ある人の講演にどんな人々が集まり、どれだけ熱心に拍手したか、どんな映画や芝居が人気があるか、というようなことを通じても、ある程度まで世論を知ることができる。それは、国民に対して、現在どういうことが問題となり、どんな点に関心が持たれているかをらせる道であると同時に、国民の代表者たちに世論の傾向を判断させる有力な材料ともなるのである。
しかし、新聞や雑誌やラジオや講演会などは、用い方のいかんによっては、世論を正しく伝える代わりに、ありもしない世論をあるように作り上げたり、ある一つの立場たけに有利なように世論を曲げて行ったりする非常に有力な手段どもなりうる。もしも、自分たちだけの利益を図り、社会の利益を省みない少数の人々が、巨額の金を投じて新聞や雑誌を買収し、一方的な意見や、ありもしない事実を書き立てさせるならば、国民大衆が実際には反対である事柄を、あたかもそれを欲しているように見せかけることができる。そうして、国民の代表者がそれにだまされるだけでなく、国民白身すらもが、いつのまにかそれをそうたど思いこんでしまうこともまれではない。人々は、その場合、「宣伝」に乗せられているのである。
報道機関を通じて行われる宣伝は、何も悪い働きだけをするわけではない。偽らない事実、国民が知らなければならない事柄を、新聞やラジオや講演会によって広く国民に伝えるのは、ぜひしなければならない宣伝である。そういう正確な事実や情報を基礎にして、良識のある国民が、これはこうでなければならないと判断したことが、ほんとうの世論なのである。しかし、宣伝は、悪用されると、とんでもない方向に向かって、国民の判断を誤らせるこどになる。小人数だけの計画しているこどが、金と組織の力を通じて議会を動かし、国民に大きな不利益をもたらすような法律を制定させてしまうこともありうる。
だから、宣伝の正体をよくつかみ、それがほんものであるか、にせものであるかを明らかに識別することは、民主国家の国民にとっての非常にたいせつな心がけであるといわねばならない。


この本が書かれた当時と、宣伝技術は格段に巧妙になってきているし、テレビの本放送が始まったのはこの後です。いまは、インターネットが普及し携帯電やスマートホンなどで、情報の洪水と言ってもよいほどです。この後の五に書かれている、報道に対する科学的考察が大切になってきます。
いま、国会で重要な法案などが審議されています。それは、安全保障に関連することばかりでなく、岩盤規制にドリルで穴をあけるといっています。それは、さまざまな規制が緩和されたり、その規制が無力化されたりしています。なぜその規制があるかを考えなくてはなりません。権力や特権や利権を持っている人たちがますますその特権や利権が拡大するのを防ぐためのものか。それとも弱い人の立場を守るためのものかを見極めて、その規制のある善し悪しを見ていかないといけないです。それは労働者派遣法のように、過労死する労働者を増やすような法律であってはならないです。
また、安保法案が国会で審議されているなか、国民も日本の国を守る自衛権のことについて関心がたかまっています。街の本やさんにいくと、それらに関する本が、賛成の意見でまた、反対の意見で書かれた本が、高く積まれています。
わたしたち国民が政治を動かすのですから、今国会で審議されていることに関する本や、テレビやインターネットや新聞などで、多様な意見を読み聞き分析し、自分たちの考えも直接行動にでたり、インターネットなどで表明して行くことは大切になってきちいます。
いま、改めてこの文部省の教科書「民主主義」を読むことは、民主主義を考えるうえで、今の政治のゆくえを考える上で、非常に参考になるものです。ぜひ多くの人がこの本を手に取って読んでもらいたいものです。

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記事へのコメント
  • 茶番の衆議院選挙
    アジシオ次郎 (10/05)
    おはようございます。

    民進党の解体、小池百合子東京都知事が立ち上げた希望の党、ハッキリ言って今回の選挙は乱立の様相を呈しそうですが、野党票割れを起こして自民党
  • 独裁者の国会解散
    竹林泉水 (09/26)
    > 政策に反対表明するための無抵抗なデモ行進、座り込みや集会を無理に解散させようとする警察官たちが、職務とは言え反対する人たちを排除しようとするのを見るとむし
  • 独裁者の国会解散
    風と雲 (09/24)
    民主的な選挙で政権交代がなされるようになり、政府への反対で暴力を使うことは、民衆の支持を失い反発され逆効果になるようになりました。>政策に反対表明するための無抵
  • 独裁者の国会解散
    竹林泉水 (09/24)
    日本人は長いものにはまかれろ、付和雷同性の国民性もあるのは確かだと思います。それは別段日本人に限ったことではないと思います。
    第二次世界大戦でフランス政府はドイ
  • 独裁者の国会解散
    風と雲 (09/23)
    かかる為政者の存在を許してきたのは、日本人の「ながいものにまかれる、お上に任せば・・、なるようにしかならない」と付和雷同性の強い国民性に由来するものではないでし
  • フェイクニュース
    アジシオ次郎 (09/16)
    おはようございます。

    ネットの普及に伴い様々なニュースが見れるようになった昨今、ただ自分の好みに合った情報しか信じないという弊害が出ることもそうだし、多様性を
  • ギャンブル依存症に顔認証は問題
    竹林泉水 (09/10)
    顔認証技術が進み、個人の識別だけに利用されるならまだしも、個人の管理に利用されるのは非常に問題が多いと思います。

    松井知事の発言があまり問題になっていないのも不
  • ギャンブル依存症に顔認証は問題
    アジシオ次郎 (09/09)
    こんにちは。

    いくらギャンブル依存症対策とはいえ、入場確認や顔認証システムを導入するのは一部から「プライバシーの侵害だ」と批判を浴びてもおかしくありませんね。
  • 終戦の日の前後のテレビ番組
    竹林泉水 (08/23)
    国際的な政治・外交問題は素人的な言い方をすれば、早い者勝ちで勝ち逃げすればセーフ的なところがありますね。
    国の名前に「帝国」冠して大日本帝国として、そのころ時代
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