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「民主主義」文部省教科書

民主主義 文部省著 
第十二章 日本における民主主義の歴史
三 明治憲法の内容

明治憲法は「欽定憲法」である。欽定憲法というのは、君主の意志によって作られた憲法のことである。明治憲法は、形のうえでは明治天皇が伊藤博文その他の人々に命じて草案を作らせ、枢密院の議を経て裁可されたものである。したがって、その制定には、国民の代表者は少しも参加していない。しかも、その改正は国民が容易に行うこどのできないものとされていた。民主主義は「国民の政治」なのだから、ほんとうに民主的な憲法は、国民の代表者によって作られた「民定憲法」でなければならない。だれの意志によって憲法を作るかということは、国の主権がどこにあるかによって決まる。主権が国民にあるということになれば、憲法は当然に民定憲法として作られる。これに対して、明治憲法が欽定憲法として制定されたのは、その根本に、主権は天皇に存するどいう考え方があったからである。だから、明治憲法は、日本の国を統治するのは「万世一系ノ天皇」であるという原則を、その第一条に掲げたのである。いいかえれば、日本で行われるのは、民主主義がいうところの「国民の政治」ではないという態度を明らかにした。
しかし、それでは、明治憲法には民主主義の要素ははいっていないかというと、そうはいえない。この憲法は、「天皇の政治」というたてまえをくずさないかぎりで、なるべく国民の意志を政治の中に取り入れうるようにくふうしてある。立法も行政も司法も、形のうえでは「天皇の政治」の一部分なのであるが、その実際の筋道は、やり方しだいでは、民主的に運用することができるようになっていたのである。
まず、明治憲法によって、日本にもはじめて議会が設けられた。この「帝国議会」は、貴族院と衆議院とから成り、衆議院の議員はすべて国民の中から選挙された。そうして、法律を作ったり、国の予算を決めたりするには、かならず帝国議会の議決を経なければならないものと定められた。かくて、議会の賛成なしには国の政治を行うことは原則としてできないことになった。そのかぎりでは、国民の意志が政治のうえに反映するような制度になっていたといってよい。
次に、行政については、天皇の大権が直接に行われることになっていたが、憲法は行政の当面の責任者として国務大臣という制度を設けた。そうして、天皇の政治に関する行為は、かならず国務大臣の輔弼によってなされるものと定めた。いいかえると、天皇も、国務大臣の意見に基づかないでは政治を行うこどはできないようになってい矢し、行政についての責任は国務大臣が負うべきものと定められていた。これは、政治の責任が天皇に及ぶことを避ける意味であったと同時に、天皇の専断によって専制的な政治が行われることを防ぐための同意でもあった。
更に、司法権は、裁判所が、政府からも議会からも干渉されないで、法律の定めに従って、独立に行うことになっていた。したがって、国民は、法律によらないで捕らえられたり、処罰されたりすることがないように定められ、言論の自由や信教の自由をむやみに制限すべきではないという保障が、憲法によって与えられた。そういう点では、明治憲法の中にも相当に民主主義の精神が盛られていたということができる。
しかし、その反面また、明治憲法の民主主義は、はなはだ不徹底なものであったことも疑いのない事実である。単に不徹底であったばかりではない。明治憲法の定めた制度には、民主主義の発達をおさえるようなところもかなり含まれていた。そうして、そういう方面を強めていけば、民主主義とはまったく反対の独裁政治を行うことも不可能ではないようなすきがあった。このことをはっきりさせるために、その中でもおもだった欠点を明らかにしておくことにしよう。
明治憲法の民主主義が不徹底なものであることを示す第一の点は、帝国議会の組織である。議会は両院制で、衆議院の方は国民の選んだ議員によって成りたってぃたが、その選挙権にはいろいろな制限があった。ことに、ある金額の直接国税を納める者だけしか選挙権が与えられないという民主的でない制限がなかなか取り除かれなかった。たびたびの選挙法の改正を経て、大正十四年になって、はじめて男子だけの普通選挙が認められることになった。しかし、これは、他の多くの民主国家でもだんだんと改善されてきた点たから、それでもよいとして、問題は貴族院である。貴族院議員のおもなものは華族議員で、これはもとよりきわめて封建的な色彩の強いものであった。そのほかに、勅選議員どよばれるものがあったが、これは政府が任命するので、明らかに国民の代表者ではなかった。少数の金持が互選する多額納税者議員もあった。しかも、このように封建的・金権的な色彩の強い議員によって組織された貴族院は憲法上ほとんど衆議院と同等の力を持っていた。だから、貴族院が反対すれば、法律も制定されず、予算も成立しなかった。したがって、貴族院は、国民の代表者たる衆議院の力が強くなることをことさらにおさえようとする、非民主的な制度であったといわなければならない。
次に、行政の方面では、天皇の統治権は国務大臣の輔弼によって行われ、天皇の発する勅令は、議会にかけて制定される法律にそむくことはできないようになっていたが、「独立命令」という形式を用いれば、法律によらないでも国民にいろくな義務を命ずることが可能であった。また、議会が開かれていないときでも、さし迫った必要があれば、「緊急勅令」によって法律と同じこどを決めることができた。予算をたてるには、議会の議を経なければならないことになってはいたが、やむをえない必要が起れば、議会にかけずに予算を作ることができた。政府の提出した予算を議会が否決しても、そういう場合には、前年度の予算をそのまゝひき継ぐことになっていたから、たいしたさしさわりは起らなかった。このように、せっかくいちおうは国民を代表する議会があっても、行政権の力が強くて、いろくと国民の意志によらない政治を行うことができるようになっていた。
ことに、民主主義の立場からみて明治憲法のいちばん大きな欠陥は、陸海軍の行動については、議会も内閣もどうすることもできない点がたくさんあったという点てある。いわゆる「統帥権の独立」というのがそれであって、陸軍や海軍はあらかじめ議会や内閣に相談しなくてもいろいろなことができた。軍部は、この特殊な制度を悪用して、だんくと議会をおさえ、政府を思うとおりに動かすようになっていき、戦争の準備をするという必要を掲げれば、軍備を拡張することも、産業を統制することも、言論を封ずることも、思想を取り締まることも、自由自在であるというようになった。そこで軍閥は、「広義国防」などということばをふりまわして、政治の実権をその手に握り、国民の権利を踏みにじって、無謀な戦争を計画するようになった。明治憲法が制定された当時にはそんなつもりはなかったにしても、後になってそのような結果を招いたことは、なんといっても明治憲法の最大の弱点であったといわなければならない。



「明治憲法」は、正式には「大日本帝国憲法」といいます。ここで言葉を分解してみると、「大」は「great」、日本は日本で、「帝国」は「empire」になり、その国の憲法となります。そして、帝国とは通常、自国の国境を越えて、多数広大な領土や民族を、巨大な軍事力で支配する国家のことを言います。すなわち、天皇の支配する国と言う意味使うなら、大日本皇国とする方がわかりやすいでしょう。しかし、明治維新以日本は、日清戦争、日露戦争、満州に侵攻し、朝鮮を併合し、東南アジアに進出していきます。まさに帝国主義そのものです。しかし、この「明治憲法の内容」を読むと、万世一系ノ天皇の国家の下での天皇による政治ですが、公議輿論や国民の権利や職業や住むところの自由、言論・表現の自由は、一定の制限があるが憲法に保障することが明記されいます。
それも天皇の支配する政治のもとでは、国家を統治し安寧の世をつくるため、それらに一定の制限があるこは正当化されても仕方がない時代だったと言えます。ただ、書かれているように、権力者を縛る立憲主義の要素が虚弱だったことが、戦争へと突き進み大きな犠牲を出したと言えます。
この「明治憲法の内容」を読んでいて、今の政権が閣議決定で憲法を自分の都合のよいように捻じ曲げて解釈をすることは、すでに戦前に戦争へと突き進んで道を、再び同じような形で歩みだしているとしか言いようがないです。
いまこそ、今の状態をおかしいと思う人は、自分の出来る方法で声を上げて行くことが大切だと思います。
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    こんにちは。

    文部科学省の局長が私立大学への支援事業に便宜を図る見返りとして自分の子供を大学に入れるよう裏口入学を持ちかけたとして住宅収賄で逮捕されたって言う
  • パレスチナの混乱
    竹林泉水 (05/26)
    いつまでも、パレスチナ問題がくすぶり続けますね。
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    アジシオ次郎 (05/22)
    おはようございます。

    イスラエル建国からずっと続くパレスチナ問題、アメリカが大使館をエルサレムに移転したことで混乱の火に油を注ぐ事態となったけど、アメリカは事
  • またまた憲法について思うこと
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  • またまた憲法について思うこと
    風と雲 (05/17)
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    竹林泉水 (05/12)
    麻生大臣にかかわらず日本の人権感覚や女性が活躍する社会といいながら、このようなことを容認するような政権の体質にはうんざりとします。
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