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民主主義 文部省編纂教科書 6

民主主義 文部省編纂教科書

第三章 民主主義の諸制度
一 民主主義と反対の制度

ロビンソン=クルーソーの漂流記は、世界じゅうの少年少女に愛読されている物語だが、この冒険談には一つのモデルがあった。一七〇四年の秋、アレキサンダー=セルカークというイギリスの水夫が南米のチリ沖で難船し、マサティエラとういう孤島に打ち上げられて、そこで四年間くらしたのである。この事実を題材として、別にまたある詩人が次のように詠じた。

私は見わたす限りすべてのものの王様だ。
わたしの権利を争う者はひとりいない。
島のまんなかから四方八方海に至るまで、
私は、鳥や獣の御主人様だ。

しかし、ロビンソン=クルーソーは、果たしてこの詩に歌われているように、島に住む鳥や獣の王様だったろうか。たったひとりの人間が孤島に住むようになってからも、鳥どもは自由に空を飛びまわっていたのであろう。獣たちは、別段その前にやって来て平身低頭したりすることはなかったであろう。ロビンソン=クルーソーは、その中のあるものをとらえて食用に供したろうし、おゝむを慣らしてことばを教えたでもあろう。しかし、それは、島の動物のごく一部だったに相違ない。その他のものどもは、あいもかわらず自由に空を飛び、野山をかけまわっていたに違いない。
人間は、鳥や獣とは比較にならない知能をもっている。それにもかゝわらず、たった一人の人間が多数の鳥や獣の王様になるということは、詩やおとぎばなしの世界以外にはありえない。ところが、人間の世界の中には、昔から王様というものが実際に存在していた、その王様は、自分よりはるかに知能の低い動物を支配したのではなく、同等の知能を持った多数の人間を支配したのである。それどころか、王様の方が家来よりもずっと知能の低い「ばか殿様」だった場合が、少なくないのである。それなのに、どうしてたったひとりの王様がおゝぜいの人たちを支配することができたのであろうか。それは、きわめてむつかしい問題だ。しかし、また、すこぶる簡単な問題だ。どうしてだろう。なぜなら、そういう世の中には、たったひとりの王様をまつりあげて、みんながその命令によって動き、その命令に従わぬ者には、どんなふうにでも処罰されるという政治上の組織が存在していたからである。
そういうぐあいに、たゞひとりの支配権が絶対権を握っていて、すべての人がその命令に無条件に服従するような政治のやり方は、専制政治である。特に、その支配者が一般人民のより付けぬような高い身分をもっていて、その地位が世襲でうけつがれる場合をさして、専制君主といい、専制君主政と名づける。専制君主が暴君であったり、ばか殿様であったりすることが多いのに、どうしてそれが一般人民からあがめられるのか。まことに不思議なことだ。しかし、その不思議なことを不思議なことでなくすくふうがある。それは、人民に、君主の地位は神から授かったものであり、君主の命令は神の意志によるものだと思い込ませることである。だから、古来の専制君主政の多くは、君権神授という思想の上に打ち立てられていた。だからまた、人間の自覚が高まって、そういう思想がバカげたものであることに気がつきはじめた時以来、専制君主政は次々くずれて行った。
けれども、専制君主政がなくなったからといって、専制主義そのものが消えてしまったと思ってはならない。現代にも、金持ちが政治の実権を握っている金権支持があるし、民主主義のような外形をよそおいながら、国民にわずかな自由しか許さない巧妙な専制主義もある。この、民主主義の形でカモフラージュされた専制政治では、選挙を行っても、政党はたゞ一つしかなかったりするから、国民の自由な意志は代表されえない。国民は、働き、服従し、戦争するために生まれて来たのだと教えこまれる。かれらは、自分たちのもらう賃金が公正であるかどうか、自分たちの服従うすべき法令が正義にかなっているかどうか、自分たちの出て行く戦争がどういう意味のものでああるかを、疑うことすら許されない。ただ黙ってその分を尽し、砲弾の的となって死に、死ぬことが名誉であり、人類解放のためであると考えることをしいられる。
人類の歴史が始まっていら、こういいうように人民を所有し、使用し、圧迫した政府はすくなくない。そういう政府があまりに多いので、政府なというものは、ない方がいいと言う議論を唱える人もある。それが無政府主義である。ロシアのクロボトキンなどは、その一人として名高い。
無政府主義の理想とすうる社会では、権力の組織がないのだから、つまり、君主もなければ、大統領もなく、議会もなければ、裁判所もないことになる。もしもクロポトキンなどの説くように、それでも世の中の平和が完全に保たれ、人々の自発的な協力と援助とによって、社会の福祉がおのずからに増進して行くものであるならば、政府などというものは不用となるであろう。政府がなければ、権力をもって人民を圧迫する危険も起こらないに決まっている。
しかし、政府がなくてすむのは、理想の社会である。現実の社会では、人々の間に意見の対立が生じ、利害の衝突が起る。その場合、すべての人々の言い分を通すわけには行かない以上、その多数が支持する考えを実行することを定め、それに反対の、もしくはそれと違う意見を持つ他の人々も、その考えに従うものとし、あくまで反対する人々に対しては、その決定を強制してい行かねばならない。かように社会的な強制力を持った組織が、政府である。だから、社会的な強制力のないほどにまで人間の世の中が完全になるまでは、政府の必要はなくならない。そうして、政府が必要である以上、その政府の組織はできるだけ多数の人々の考えで決めることが望ましい。たゞに政府の組織ばかりでなく、政府の方針も国民の多数の意見で決定すべきだし、その意見に従って政治をつかさどる人々も、国民の中から自由に選ばれた国民の代表者でなければならない。そうすうることによって、はじめて、国民んのための政治を行うことが期待される。かくて、民主政治が一番よい、一番正しい政治であることが知られる。



政治家はひとりの人間であり、首相であろうと大統領であろうと、政治家は一人の人間としての個人です。国民一人ひとりも同じ一人の人間であり、それぞれ一人の個人です。政治家が国民より優れているかというとより、おうおうにして、政治家は権力を掴んだ瞬間、国民より知性が衰えてしまうことが多いよいです。いわゆる「バカ殿」になってしまうのです。それによる過ちを防ぐのが、周囲に侍らせるブレーンが重要になってきます。しかし、それを自分の考えにちかい「お友だち」で固めてしまうとどうなるでしょうか。自分たちと違う意見を聞き入れることができなくなることが、今の国会をみればわかります。そして、「これしかない」「決める時には決める」「私が責任者だ!」と、叫んで廻る。
また、「民主主義のような外形をよそおいながら、国民にわずかな自由しか許さない巧妙な専制主義もある。この、民主主義の形でカモフラージュされた専制政治では、選挙を行っても、政党はたゞ一つしかなかったりするから、国民の自由な意志は代表されえない。国民は、働き、服従し、戦争するために生まれて来たのだと教えこまれる。」。この部分は、自民党の憲法草案を読むと、日本国憲法に書かれている「公共に福祉に」が、多くの箇所で「公益」が重視されそれに置換らている。このことは民主主義で大切な「自由」や「平等」や「権利」が制限されるということです。これは、この章にかかれている「国民にわずかな自由しか許さない巧妙な専制主義もある。」になりかねない重要なものです。


私は見わたす限りすべてのものの責任者だ。
わたしの権利を争う者はひとりいない。
国のまんなかから四方八方海に至るまで、
私は、政治や国民の責任者だ。

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