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人を信頼と幸せ

人を信頼する話

山本常一の著書に「日本人のくらしと文化」と言うのがあります。そこに天明五年(1785年)今から230年ほど前に、三河の人で菅江真澄と言う人が青森の方に一人旅した人のことが書かれています。
「菅江真澄が岩手県のほうにおるとき手紙を郷里に出しますね。半年近くしますとちゃんとその返事が戻ってきております。さらに北海道から郷里に手紙を出している。その手紙が郷里に着いて残っている。・・・・・」。私はこれを読んで江戸中期のころですから、飛脚の制度や宿場の宿駅制度が全国に張り巡らされていたと聞きます。明治になると、陸運会社ができ全国に支店を作り、その会社が荷物を相手に直接届けるようになったが、それ以前は宿ごとや街道がの分岐点で、荷物を仕分けの手配をする者がいて、荷物を運ぶ人足が宿ごとに請け負って運んでいたとききます。これ手紙などの飛脚制度も同じようです。しかし、手紙や荷物を届けるのに、それだけではなく別の行われ方もされたようです。それは飛脚の駅伝や荷物などの宿駅制度とは少し違うようです。後の方に次のようなことが書かれています。
「いまから180年ほど前の話なんです。郵便局もありません。どうして手紙が届いたのだろうか。これは人間と人間の相互信頼がない限り絶対にそういことはありえないのです。恐らく北のほうに向かっていく人に、「すまんが、この手紙は山形という所のなにがしのところへやる手紙なんだが、あんたは北のほうに行くんだから、持って行って、そこからまた北の方へいく人にこれをことづけてくれないか」。・・・・、手渡しして、最後は山形まで届いたいる。そういう人間関係の信頼関係がかつてはあったのです。・・・・」。
これを読んでいると、現代では見ず知らずの人にこれを、届けたいのだが途中まで持っていき、その先でまた誰かに渡して届けてくれ、なかなかできるものではないし、頼まれた方もたとえ自分は途中前持っていき誰かに渡してもその先どうなるかわからないので、とてもとてもそんなことは引き受けられないでしょう。


もう一つ人を信頼する話
骨形成不全症という障碍を抱えて生まれた、宇都宮辰範さんと言う方がおられました。そのかたは、今から40年以上前に、四国から一人で大阪に出てこられました。今のように障碍者に対しての社会福祉制度などが皆無と言ってよい時代です。
その、宇都宮さんは、ストレッチャーと言うベッド式車椅子で生活しているので、自分の力で移動することもできません。しかし、宇都宮さんはベッド式車椅子を通りがかりの人に声をかけ、その人と同じ方向だと行くところの途中まで押してもらう、そしてまた通りがかりの人に声をかけ押してもらう、そうして何人もに押してもらい目的地までいくそうです。
そして、大阪から東京に行き一人で生活を始めたそうです。
宇都宮さんの信条に、次のようなものがあります。
「一回でも出会った人はオレの友達やと考えるねん。友達を増やすってことは出会っていくことなんや。だから目的地までお送りしましょうという人をオレは断るんや。その方が多くの人に会えるやろ。」
「ほんとうの自立はとは、他者の力をどれだけ借りられるか、にかかっている。」
「現代の人間社会ルールは人に迷惑をかけるなだが、自分に力をつけ人の力を借りないで、自立したいと一所懸命に骨身を削っている。人を信じられず信じられるのは、結局自分だけやないかって頑張っていたら、それは自立なんかやなくて孤立や」
そして、死ぬまでそれを貫いたそうです。
この話を聞くと人を、信頼していないと見ず知らずに通りすがりの人に、ストレッチャーを押してくれなどなかなか頼めないものです。
このはなしは、解放出版から「風の旅人」牧口一二著として出版されています。またDVDは電通テック関西支社から出ています。ビデオは啓発用の教育ビデオなので高いです。


最後に幸せとは何かと言う話
24日の朝日新聞のインタビュー欄に評論家・渡辺京二のインタビューが載っていました。
そこに、渡辺京二氏が著した幕末維新のころ日本に滞在した外国人の訪日録を集めた、「逝きし世の面影」に当時に外国人の目に映った、貧しいが幸福と満足にあふれる日本人の姿が紹介されいる。そのことについて、インタビューに対して、渡辺京二氏は次のように答えている。
「江戸には膨大な数の貧乏人がいたんですよ。でも彼らは、それぞれ居場所をもっていた。たとえば、煙管(きせる)にヤニが詰まりますね。それを掃除する仕事が職業になる。それで食べていける。そのかわり粗末な長屋暮らしですよ。家具もほとんどない。しかし、そんな貧乏人が食事になると美しい食器を使う。その美意識にも外国人は驚いたんです。しかも親はしつけで子をたたかない。『子どもの楽園である』と」

この話どれも昔の話です、一つはつい最近の話ですがそれも、社会制度の充実に伴い過去のものなってきつつあります。

明治維新から今日まで日本はひたすら経済発展を目指してきました。そして価値観も倫理観も社会通念なども、西欧を追い越し追い抜けの号令のもとに走ってきました。

そして気がついたら、西欧を見習い追い越そうとしたものは、産業や経済面に関する価値観や倫理観などだけで、心の価値観は昔から日本に在ったものは捨ててしまい、かといって西欧の民主主義観や精神面での価値観は取り入れなかったようです。


資本主義を高度に発展させていくと、契約社会で基礎的な共同社会を根底から崩していきました。昔の長屋住まいの町人は、何かするのに隣に、「悪いわね」と気遣いしながらも頼みごとをしていました。
日用品の足りないものの貸し借りや、子供の世話などは、長屋の共同社会で無償の支え合いをしていました。
しかし、資本主義社会が高度に発展すると、そのような足助合いも、産業に組み込まれ商品化していきます。
高齢者や障碍者へのケアサービスの事業などはそれと言えるでしょう。
考えようによては、お金を払えば済むわけで気遣いせずに便利です。しかし人間はバラバラになって行くようです。そして、資本主義が高度に発展しつくし、物作りなどの産業が行き詰まってきます。そして経済の回転を維持するのに、個人をねらったサービス産業が発展し個人個人の結び付きをも切り離してしまい、個人を儲ける対象の消費者にしてしまいます。

今の日本を見れば、物作りの産業はどんどん海外に拠点を移しています。そしてサービス産業が成長してきています。そして、人人とのつながりで何かをするのではなく、サービス産業などとの契約によりないかをするようになってきています。そうなれば世の中ますますバラバラなりかねません。
今一度自分の生活を見直して見ようと思います。
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