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三太郎の日記  阿部次郎

三太郎の日記  阿部次郎
三太郎の日記  阿部次郎

高校生の頃に読んだ本に「三太郎の日記」がある。この本、読んだというより買ったといった方が正確で、全部読んでいない。
大正・昭和30年頃まで、学生の必読書のようなものと言われていた本です。阿部次郎が「三太郎」にこよせて、著者自身の苦悩を書いたものです。

この本を今一度読んでみようと新しく出された、「新版 合本 三太郎の日記」を買って今、ボチボチと読んでいる。


「三太郎の日記」は、大正時代になると日本の世の中が、豊かになるにつれ中学生(旧制中学 今の高校生)や大学生たちは、豊かさだけを追い求めるのが幸せになれるのか疑問に思い始めた。そして、心の豊かさや物事への理解を深め、社会人として文化人として生きることだと考えだした。
若いころ「三太郎の日記」は、第一章に「生活は生活を咬み、生命は生命を蝕ふ。俺の生活は湯の煮えたぎる鐵瓶の蓋の上に、あるかなきかに積る塵埃である。 ・・・・中略・・・・ 俺は今眼を失へるフオルキユスの娘達の樣に、黄昏れる荒野の中に自らの眼球を搜し回ってゐる。・・・以下略 」見えるように難しい言葉使われ難解で、読んでいる途中で挫折してしまった。
この歳になり読むと、若者の回りくどくキザに理屈をこね、やや偏狭したところがあり、屈折していることを感じる。しかし、大正・昭和初期の若者達に、興奮し熱中して読まれ青春のバイブルと言われたものです。
しかし、それは若者の特権のようなものですが、最近の若い人は周囲の空気を読むののたけて、このようなところが見受けられなくなってきている。

現代の今の世は、勝ち組と負け組の線引きがされ、強者はますます強くなり、敗者はなかなか這い上がれなく早くから諦めてしまっているものが多いように思える。三太郎の時代も勝組と負け組は問題であり、大正デモクラシーや自由民権運動などがあった。三太郎はどのように考えたのだろうか。
「弱い者はその弱さを自覚すると同時に、自己の中に不断の敵を見る。さうして此不断の敵を見ることによつて、不断の進展を促す可き不断の機会を与えられる。臆病とは彼が外界との摩擦によつて内面的に享受する第一の経験である。自己策勵とは彼が此臆病と戦うことによつて内面的に享受する第二の経験ある。從つて臆病なる者は無鉄砲な者よりも沈潜の道に近い。彼は無鉄砲な者が滑つて通るところに、人生を知るの機会と自己を開展するの必然とを経験するからである。弱い者は、自らを強くするの努力によつて、最初から強いものよりも更に深く人生を経験することが出来るはずである。弱者の戒む可きはその弱さに耽溺することである。自ら強くするの要求を伴ふ限り、吾らは決して自己の弱さを悲観する必要を見ない。」

弱いからこそその弱さを自覚し、自分の中にある絶えること無い弱さを見て、自分を知る機会として自分を強くする努力をすることにより、強い者より深う人生を経験し強くなれるので、自分の弱さに悲観する必要はないと考えているのであろう。


そして、次のようにも言っています。
「何を与えるかは神樣の問題である。与へられたるものを如何に発見し、如何に実現す可きかは人間の問題である。」
強い人弱い人があるのはそれは、天性で仕方ないものであるが、それをどう受け止めそ、その後どのように自身が行動するかが問題だと言い。

さらに次のように括っている。
「与へられたるものの相違は人間の力ではどうすることも出來ない運命である。ただ天性を異にする総ての個人を通じて変わることなきは、与へられたるものを人生の終局に運び行く可き試練と労苦と実現との一生である。与えられたるものの大小に於いてこそ差別はあれ、試練の一生に於いては
――涙と笑とを通じて歩む可き光と影との交錯せる一生に於いては――
総ての個人が皆同一の運命を担ってゐるのである。若し与へられたるものゝ大小強弱を標準として人間を評価すれば、ある者は永遠に祝福された者である者は永遠に呪はれた者である。之に反して、与へられたるものを実現する労苦と誠実とを標準として人間を評価すれば、凡ての人の価値は主として意思のまことによつて上下するものである。さうして天分の大なる者と小なる者と、強い者と弱い者とは、凡て試練の一生に於ける同胞となるのである。」

人の価値を評価するのは、結果だけでするのでなく、その人が自分の置かれた現実に対してどのように取り組んだか、どれだけ誠実に努力したかなどを評価すれば、強いものと弱いものは同じ人となる。


それでは、今の世の中はどうであろうか、世の中が物作りの経済活動より、金融経済活動が重用しされるている。インターネットで瞬時に決済することが、要求されているなかでは、悠長に弱者の牛歩の努力には日の目が向けられないようになってきている。国の政策も三本の矢などと、強いこと勝つことが中心に動いていることを考えると、弱者にとってますます厳しく、生きずらい世の中になってきていると思う。
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■竹林乃方丈庵の主から■

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記事へのコメント
  • 臨時国会の開催はいつか
    風と雲 (08/04)
    一体今の日本はどうなってしまったのだろうかと思う。アベ内閣も与党も憲法に違反することを完全に無視して悪びれもせず堂々と実行してきた。、政府高官も最高裁も報道機関
  • 難病と尊厳死
    竹林泉水 (07/29)
    コメントありがとうございます。

    自ら生きる権利、自ら死ぬ権利があるのはよくわかります。
    それにはどちらも人・個人としての尊厳が保たれている必要がある考えます。
  • 難病と尊厳死
    風と雲 (07/28)
    意識して自ら命を絶つことができるのは人間だけだと思います。人には生きる権利と自由があるように、自らの命を絶つ権利も自由もあって然るべきではないでしょうか。このA
  • 不自由な国、日本
    アジシオ次郎 (07/01)
     自分よりも周りを優先する集団主義的な考えが同調圧力などがまかり通る社会なことについて前に
    >日本的なこの価値観は、海外から見たら奇異の目でしか見られないでしょ
  • 不自由な国、日本
    竹林泉水 (06/29)
    日本語に「世間」と言葉があります。「世間体が悪い」「世間がうるさい」「世間を渡る」「世間に顔向けできない」「世間の目を気にする」「渡る世間に鬼はいない」などとつ
  • 不自由な国、日本
    アジシオ次郎 (06/27)
     おはようございます。

     日本はやはり集団主義が根強い社会であり、いわゆる「ムラ」社会的価値感が強い為に変に「和」を重んじる傾向の上に上の言うことは絶対だという
  • 人種差別抗議行動への共鳴が日本で起きないのは
    竹林泉水 (06/26)
    なんで日本人は欧米人に対してコンプレックスを持っているのだろうか。明治政府は今までの幕藩体制をぶっ壊し廃藩置県をし、国内の不平不満のエネルギーを外に敵を作ること
  • 人種差別抗議行動への共鳴が日本で起きないのは
    アジシオ次郎 (06/25)
     こんにちは。

     日本人は長年欧米コンプレックスを抱いたせいで白人に対して好意的に見る一方でアジア人や黒人を平気で見下すような傾向が強いけど、自分たちが置かれて
  • 長期政権
    アジシオ次郎 (06/24)
     おはようございます。

     長期政権がもたらすもの、それは腐敗と閉塞感以外の何物でもないが、一人の人間が十何年、何十年と居座ってては健全さなど皆無だし、変化を知ら
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